報告書

昨年9月にノルウェー,スウェーデンに訪れた調査旅行ですが,現在,報告書を作成する作業をしています。

今でも北欧関連のテレビ番組をやっていたりすると,我が第二の故郷かのように(笑),懐かしく観ています。
しかし,パリやデンマークでテロ事件が相次ぎましたから,もし今年北欧視察の話が出ていたら,実現が難しくなっていたかもしれません。
何だか世界が一気に不安定化している気がします。

報告書を作成するとなると,当時作成したメモや写真等の資料を見返すことになります。
写真を見ると,それこそ懐かしくなってしまって,写真だけ見ていて時間が過ぎてしまうなんてこともあります。
現地で調査をしていたときは,録音機は持って行っていましたが,手元のメモは要点だけにしていました。
しかし,こうやって報告書を書くとなると,逐語的なメモも大事だなとあらためて思いました。
記憶はどんどん薄れていくし,録音を全部聞くとなると時間がかかりすぎる面があります。
ノートPCを持ち込んでメモをしてくれた人には感謝しなければなりません。

ノルウェー,スウェーデンでの被害者弁護人の制度についてみていると,これがなぜ日本でできないのか,と思ってしまいます。
両国では,概要としてですが,暴力による被害者,性被害者については,基本的に,捜査段階から弁護士が付きます。
裁判所がリストの中から選任し,その費用はもちろん国から出されます。いわゆる資力要件もありません(細かい例外ももちろんあります)。
決して高い弁護士報酬ではありませんが,活動した時間に応じて支払われます。

一方,日本では,公費による被害者に付く弁護士は,刑事裁判に被害者参加した場合だけ。
資力基準もあります。
法律扶助によって弁護士費用を立て替える制度もありますが,あくまで立替です。
では,捜査段階ではどうかというと,弁護士会で運営(つまり,各弁護士が特別会費を出して運営している)している法律援助事業によって,弁護士費用の援助をしています。
原則交付制ですので,被害者等には費用の負担は原則ありませんが,資力基準はあります。

先日,DV,ストーカー被害者を対象とした,公費による弁護士制度が検討されたのですが,まもなく,立替みたいな話になり,その後なんと,話自体が無くなってしまいました(相談だけならみたいな案も残っているらしいですが)。
理由は,財務省がお金が出せないと言ったらしいとか,全国で対応体制が取れないからと法務省が言ったからなどと言われています。

しかし,DV,ストーカー被害者だけでなく,いわゆる暴力犯罪や性犯罪の被害者も含めて,捜査段階から公費によって弁護士を付けるための制度を仮に作ったとして,どれだけお金がかかるというのか。
あちらこちらで無駄な投資をしたり,天下り先に委託したりしているお金の1割?1%にもならないのでは。
かけるべきところにお金をかけないでどういう了見なのか。

きちんと公費によりお金が出るのならば,対応体制も整っていくし,研修体制も整っていく。
そんなことは誰でも分かるはずです。

北欧諸国が,高負担高福祉の制度を維持させ,教育やあるいは経済活動において注目をあびているのは,すごいアイデアを彼らが編みだしているわけではなく,むしろ合理的に単純に考えられることが,そのまま実現できているということなのではと思います。
それが,しがらみやらなにやらで妨害され,不合理な方向に行くのが日本をはじめとした国なんだろうと。

少し違うかもしれませんが,この間,埼玉の所沢市の小中学校に冷房を付けるかどうかの住民投票をやっていましたが,反対の中高年らしい市民が,「自分の福祉が削られるのがいや」みたいな話をしていて,何だ自分のことしか考えていないのかと愕然としました。
これから国を,市を背負っていく若者を育てるという合理的な考えはそこには全く見当たりませんでした。
これではいつまでもこの国は変わらんだろうなと思いましたよ。

北欧のような厳しい環境で生活していると,合理的にいろいろやらないと生存が危ういみたいな危機感があるんでしょうね。そこの違いですかね…。
まあ諦めずに,被害者弁護人制度の導入を目指していきます。
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by black_penguin | 2015-02-22 22:29 | 業務関連 | Comments(0)

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