色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

読了しました。
4月12日の発売日に購入し、読み終えるのに1週間かかりました。通勤時間帯に細切れにしか読めなかったので。
先入観を持たずに読んで欲しいということだったので(村上春樹コメント)、書評とかも一切読まないようにして、情報が飽和する前にと、いつになく早く読みました。

ということで感想です。

私が一番気に入っている「世界の終わり」あるいは「ねじまき鳥」に比べると、どうでしょうか80%くらいな感じでしょうか。

最初のほう、というか中盤以降まで、ちょっとありがちな設定のお話で、登場人物もちょっと平凡で、おやおや大丈夫か、話が浅くないかと心配しながら読んでいました。
しかし、そこは東野圭吾なんかとはレベルが違うということで、最後まできたら、さすがという感じで終わりました。

いわゆる不思議物(って勝手に命名しているけれど)(羊シリーズとか)ではなくて、リアルなお話路線。ノルウェイの森みたい。
私は、ノルウェイの森が一番面白くないと思っていたのですが、それよりは何というか重さがあった気がします。

いつになく村上春樹のメッセージがダイレクトに出ている気もしました。
主人公多崎つくるは、「駅を作る」仕事をしているのですが、駅は当たり前のように存在して、誰もこれを誰が作ったのかなど気にしない物な一方生活には欠かせない物で、ここはあの雪かき仕事の話に通じるのかなと。
そのことは、主人公が「巡礼」にまわることもそうなのかな。誰も求めていないけれどやらなければいけないことがある。

あとは、何かのきっかけで一回転落してしまうと、なかなか元に戻れない今の社会への批判めいたものも感じました。
そして、5人の友人のつながりや主人公の恋の話からは、希薄になりつつある人間同士の共生の意義を教えているようでした。

村上春樹としては、20代くらいの若者に向けて書いたのかと思いました。
それくらい人生訓(というと言い方がいまいちだけれど)が明確に出ていました。あえて出したんだろうと思っています。

いつになくストレートで、純粋な村上春樹だったです。
小説としては、やはり若い頃の作品にはかなわないけれど、「巡礼の年」は、後世に残る(というとオーバーだけれど)講演のような感じかもしれません。

以上です。
来週末に、専門家の感想を聞きましょう。
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by black_penguin | 2013-04-19 23:00 | | Comments(0)

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