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無免許運転

以下,朝日新聞より引用

無免許運転の少年、懲役5―8年判決 亀岡10人死傷

 京都府亀岡市で昨年4月、小学生ら10人を車ではねて死傷させたとして、自動車運転過失致死傷と道路交通法違反(無免許運転)の罪に問われた無職少年(19)の判決が19日、京都地裁であった。市川太志(ふとし)裁判長は「罪悪感なく無免許運転を重ね、遊び疲れと睡眠不足で居眠りに陥った悪質な犯行だが、反省もしている」として、懲役5~8年(求刑懲役5~10年)の不定期刑を言い渡した。

 少年法は、判決時に20歳未満の少年に3年以上の有期刑を宣告する場合には「○年以上○年以下」という形の不定期刑とし、最長10年までと定めている。

 判決によると、少年は昨年4月22日未明から、友人らと交代で軽乗用車を計5回、無免許運転。23日朝に居眠りし、最低でも時速約50キロで集団登校中の児童らの列に背後から突っ込んで女児2人と保護者の妊婦を死なせ、児童7人に重軽傷を負わせた。同11、17日にも別の車を無免許運転した。

 市川裁判長は、少年が事故前年にも無免許運転などで保護観察処分を受けていたのに、「更生の機会を生かさず、無免許運転という犯罪におぼれていったのは被告自身の責任」と指弾。また、同21日から友人と夜通し遊び回り、事故までの仮眠時間はわずか計5時間20分だったと指摘したうえで、「高速度で背後から衝突された被害者には何の落ち度もなく、地獄絵のような光景が全国的に大きな不安や衝撃を与えた社会的影響も大きい」と述べた。

 弁護側が求めた中等少年院送致は「刑罰で責任を明確に自覚させることが社会正義にかなう」と退けた。

 事故を受け、警察庁は無免許運転の法定刑の上限を懲役1年から3年に引き上げる道交法改正試案を発表している。

引用終わり。

この危険運転致死傷罪というものを作ったはいいものの,ここまで要件が厳しいと,逆にこれの適用を免れてしまったという敗北感を被害者遺族に与えるだけになってしまう感じがします。
無免許運転でも運転そのものが未熟じゃないので危険運転ではない,と言われても,納得はいかないでしょうね。

一方で,このような事件が発生するたびに厳罰化が叫ばれて,言葉は悪いですが,場当たり的な対応が繰り返されてきた気がします。
そうした対応の割には,悪質事案は減っている様子がない。
そして,いくらあとから厳罰にしても,失われた命は帰ってこないことを考えると,やはり被害者の発生を未然に防ぐ方向での施策を考えないとと思います。

例えば歩道を広げてガードレールを設置する,通学時間帯は一定地域への車の乗り入れを物理的に遮断する,交差点では歩行者のみが移動する時間帯と車のみが移動する時間帯を明確に分ける(←右折などにより事故を防ぐ),といった施策の方に目を向けた方が良いのではないかと思います。

あとはもう多額の罰金とか,長期の免許停止とか,あるいはまた,長期の社会奉仕を命じるとか,社会内処遇(と位置づけて良いのか分からないものもありますが)へ舵を切っていくことも必要に思います。

ということですが,今回の判決で納得がいかないのが,長期10年を8年にしているところでしょうね。
俗に言う8掛けですか。
反省しているからとか言って。
これだけの重大事故起こしておきながら,いくら反省したからといって2年も減らしちゃうって。
この奇妙なバランス感覚を発揮しちゃうところが職業刑事裁判官ですね。
そういう意味では裁判員裁判導入も良かったのかもと思いました。
by black_penguin | 2013-02-19 23:30 | 時事関連

弁護士のちょっとブラックな業務外日誌


by black_penguin