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法テラス続報

(以下,「東京新聞」より引用)
法テラス
弁護士電話相談“パンク”
 日常生活のトラブルの解決を支援する「日本司法支援センター」(法テラス)の総合窓口であるコールセンター(東京都中野区)が、利用者からの電話を弁護士会の相談窓口に転送しても六回に一回しかつながっていなかったことが分かった。電話回線の不足などが原因で、利用者からは「いつも話し中」と苦情が相次いでいる。鳴り物入りで開業して一カ月。法テラスが掲げる「司法を身近に」の理念が、かけ声倒れになった形だ。

 コールセンターでは、利用者から金銭トラブルや相続問題などの電話相談を受け付け、オペレーターが最適な機関を選び電話を転送している。

 主要な転送先になっているのが、弁護士会の電話相談窓口。東京の弁護士会と大阪の弁護士会が専用の電話回線計五本を開設し、担当弁護士が相談に応じている。

 ところが、開業した十月二日から三十一日までにコールセンターが四千四百八十八本の電話を相談窓口に転送したのに、つながったのは七百三十八本だけ。日本弁護士連合会の幹部によると「込み入った相談は時間が長くなり、回線がパンクしてしまった」という。

 日弁連幹部は「無料相談には限界がある。面談での有料相談こそ本来の姿。法テラスには、面談の予約受付センターへの転送を優先するよう求めた」と言う。一方、法テラスの担当者は「有料相談が原則になれば『気軽に司法にアクセスできる』とする理念からかけ離れる」と困惑している。
(引用終わり)

内部では,やばい問題になっているようです。
しかし,この記事及び法テラスに対しては,次の通り反論いたします。

まず東京の弁護士会でやっているという電話相談窓口。これは法律相談電話ではありません。
電話ガイドと呼んでいるもので,いわば法テラスがやっているものの弁護士会版のようなもの。5分程度の聞き取りを前提とするもので,弁護士が直接聞いて,適切な相談窓口を紹介するのが主な業務です。

そもそも法律相談は,そう簡単にできるものではありません。
事案の概要はもとより,相談者の所持している資料,その他様々な事情を聞き取り,調査した上で回答できるものです。
弁護士会館等で行っている面接法律相談(有料)は,30分で一応区切ることになっていますが,30分なんてあっという間です。
それを電話でちょっとやれ,というのはどだい無理な話です。

更に言えば,法律相談というのは,弁護士とってある意味基幹業務です。
訴訟代理や債務整理ばかりが目立ちますが,基本はなんと言っても法律相談です。それは個人のお客様であろうと法人のお客様であろうと同様です。
その基幹業務について,「「有料相談が原則になれば『気軽に司法にアクセスできる』とする理念からかけ離れる」と困惑している。」などという法テラス担当者の無理解さには困惑感を抱かざるを得ません。
司法アクセスの円滑化と相談の無料化とは関係がないように思います。

ということで,今回は,「日弁連幹部」に同意見です。
by black_penguin | 2006-11-06 22:53 | 業務関連

弁護士のちょっとブラックな業務外日誌


by black_penguin