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在外選挙権

在外選挙権の制限についての違憲判決が出た。

この判決で注目されるのは、最高裁が初めて立法不作為を違法とした点だ。
これまでの最高裁判例では、
「国会議員の立法行為(立法不作為を含む。)は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想像しがたいような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けない」とされていた(最判昭和60.11.21)。
これでは、事実上、立法不作為が違法とされることはあり得ないこととなる。

しかし、今回の判決ではこの点について、
「立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や,国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり,それが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには,例外的に,国会議員の立法行為又は立法不作為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受けるものというべきである。」として、立法不作為が違法となる場合を実質的に拡大した。
これだと、立法機関である国会に対する圧力は、これまでとは全然違うことになると思う。

ただ、今回の判決は、この判断について、
「最高裁昭和53年(オ)第1240号同60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁は,以上と異なる趣旨をいうものではない。」とわざわざ注意書きを付け、判例変更ではないことを強調している。が、だいぶ違うような気もするが。

今度は、一票の格差について大胆判決を期待したいね。
2倍以上は違憲・違法→今回の衆議院選挙は、無効であるとかいって。

なお、今回の最高裁判決の全文はこちら
by black_penguin | 2005-09-16 00:08 | 時事関連

弁護士のちょっとブラックな業務外日誌


by black_penguin