宝塚歌劇を巡る一考察

北欧視察旅行記中ではありますが,先般,一度は試してみてはというお誘いを受けて,宝塚歌劇を観劇して参りましたので,これを巡る一考察を以下に。
宝塚ファンからしたら,腹立たしい内容だと思いますので,読まないで下さい(笑)。

今回は,星組公演で,「The Lost Glory」という出し物。
約1時間半の劇のあと,ショーが約1時間という構成。
ほぼこういう構成だそうです。

ほぼ九割五分くらいは女性客。舞台にいる人は当然全員女性ということで,何だか圧倒されます。

さて,第1部。
世界恐慌直前のアメリカを舞台にした,やや陳腐なストーリーが1時間半。
素人からすると,ほぼ同じような顔をした人たちが,同じような声で話していて,しかもマイクで左右のスピーカーからしか音が出てこないので,だれが話しているのか分からない。
音楽も,せっかくオーケストラピットで生演奏しているのに,これまたマイクで拾っているので,その良さが生かせていない。しかも,何だかポップ調や演歌調の曲ばかりで,ストリングスが生かされず,オケがいる意味があまり感じられない。
歌や踊りも,下手では無いものの,鳥肌が立つようなところは無くという感じでありました。

そんなこんなで第1部終了。
そういえば,最初から司会という人が現れて,演目の説明をしたり,休憩中に抽選会をやったりと,ここは大衆演劇的な感じでありました。

第2部は,ショー。
トップの柚希礼音さんを中心に,踊りと歌が繰り広げられます。
最後は,ラインダンスに続いて,急階段を降りてくるという定番の演出でありました。

皆一生懸命さは伝わるのと,トップのボス感は,よく分かるものの,やはり歌も踊りも厳しく言えば中途半端。
圧倒的な歌唱力とか,圧巻のダンスとかとかは見られずじまい。
何となく演歌歌手のステージみたい(行ったことないけど)な感じでした。

そういうわけで,当初の予想がもっと酷かっただけに,まあまあではないかというのが総合的な感想で,ただ,たぶん自分でチケットを買ってまた見に行こうとはしないなと思いました。

一緒に行った女性陣は,普段は割と辛口なのに,甘口な感想(笑)。
一生懸命やっているのが良い,未熟なところを育てている感じが良い,などなど。

この宝塚歌劇が,ほぼ全て女性で完結しているところから,これは分析していかないと。
以前にも引用したように思う,指揮者の大野和士さんの感想。

「歌が始まると「うーん、せっかくの美しい声がもったいない」とつぶやき始めた。マイクで拡声された声がオーケストラピットに並々と注がれている。そのさまに大野さんは、谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」の一節を思い起こしたという。日本的感性の源は西欧の照明ではなく、自然の闇のなかにある、と谷崎は説く。
「生身の音を大切にする心、それ自体が日本の伝統。声や楽器の自然なダイナミズムを、もっと信じたっていい」

 男装の麗人という存在は、男女の間に通常おこりうるさまざまな争いを、物語のなかに持ちこませない。肉体的にも、精神的にも。そうしてある種、絶対的に安全な世界をつくり出すことに成功し、観客は、その「揺るぎない平和」に自らを安らかにゆだねる。「時間よ、止まれ!」」

この感想が,あらためてよく分かりました。

ただ,どうして,男役が常に主役でトップになるのかはよく分からないままでした。
常に,理想の男性像を作り出し,女性はこれに従うような描き方。
強い男と従う女性というようなある種ステレオタイプな世界を求めているのか,はたまた,男性という存在そのものを打ち消したいのか(女性だけの世界を作りたいのか),というところが男子には分かりませんでした。

もう一つの感想は,宝塚はこういうものだということで,もう仕方が無いのかもしれませんが,日本では,芸能というものが,素人的なものが多く,歌唱力や演劇力等々が軽視されてはいないかというものでした。歌手と呼ばれる人も。
ブロードウェイのように,厳しいオーディションを行って,本物の力を持った人たちを集めて,エンターテインメントを提供できるようになってもらいたいなと思いました。

いずれにしましても,今回このような機会を与えて頂き,ありがとうございました。
今週末楽しみにしております。
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by black_penguin | 2014-10-05 21:12 | その他 | Comments(0)

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