床屋

村上春樹のエッセイ「やがて哀しき外国語」の中に,床屋のことを書いたところがあります。

「僕はこの6年間のほとんどを外国で暮らしながら、床屋のことでは本当に悩み、苦しみ続けてきた。この世界中で僕くらい頻繁に、そして深く真剣に床屋のことを考えて生きてきた人間はちょっといないんじゃないかという気がするくらいである。」

「僕はべつにヘア・スタイルに凝る人間ではない。顔写真をご覧になっていただければわかるように、とくになんということもない髪型をしている。…中略…はっきり言ってしまうと、まったく芸のない髪型である。髪型とさえ呼べないような代物である。…中略…そんなもののために一人の人間がどうしてそれほど深く悩まなくてはならないのか、とあなたは疑問に思うかもしれない。」

「でも僕の髪にはちょっとしたクセがあって、そのバランスを取るのがけっこう難しく、「適当に短くすればそれでOK」というものではないのだ。ヘタをすると本当にひどいことになる。」

「日本にいるあいだは、いつも東京都内某所の床屋に行く。僕はこの床屋さんにもう15年くらい通っている。二ヶ月に3回くらいのペースでここに行って、「こんちは」と行って椅子に座る。それだけである。一切何も考える必要がない。長年のつきあいだから、ここの人たちは僕の髪をどのように切ればいいのかというのをちゃんと心得ていて、要領よく処理してくれる。」

「実を言うと、今では僕は日本でユニセックスの美容室に行っています。というは一つには引越していつもの床屋が遠くなったからで、もうひとつには予約ができなくて、いつも混んでいるから。」


私も髪にクセがあって(天然パーマ),ある程度上手に切ってもらわないと結構ひどいことになるわけなのです。
なので,適当な美容院に行くわけにいかず,ここ8年近く,近所の同じ床屋に通ってきました。

技術もあって,面倒な話もする必要もなく,とても良い感じで通っていました。
が,1年くらい前から,それまでいた若手がいなくなり,おじさん一人で切り盛りするようになってから,かなり待つようになってしまいました。
誰もいなければもちろんすぐにやってもらえますが,待っている人が一人でもいると,それだけで自分が終わるまでに下手すると3時間くらいかかってしまうようになってしまったのです。

それでもしばらく我慢していたのですが,さすがに時間の無駄だと思い,近所で別のところを探すことにしました。
そうしたところ,理容室だけれど,美容室のような,ちょいとこじゃれた床屋?が見つかったのです。
早速行ってみました。

なかなかサービスも良く,お客さんも次々入ってきてました。
肝心の技術ですが,これがなかなか良い。
下手すると今まで以上によく切れています。
値段は,1000円上がってしまうけれど,予約ができるので時間の無駄もなく。
まあ何だか悪いことをしているみたいだけれど,ごめんなさい,今度からこちらの店に行こうと思います。

別にそれは言わなくても良いけれどとも思ったけれど,新しいお店の理容師さんは,普段からかなり訓練しているらしいです。
弁護士も,普段の勉強が大事だよね。でも時間が…。
と思ったのでした。
[PR]
by black_penguin | 2012-11-07 23:23 | その他 | Comments(0)

弁護士のちょっとブラックな業務日誌


by black_penguin
プロフィールを見る
画像一覧