労働事件

いわゆる一般民事と呼ばれる事件は、これといって選り好みせずいろいろやってきた私ですが、どうにもこうにも向いていないなぁと思われる案件があります。

それは労働事件です。
以下一部村上春樹風にてお伝えします。

これから書くことは、弁護士としてはどうなんだと思うようなことかもしれないし、僕が誰かということをもし依頼者が知ったら怒ってしまうかもしれないけれど、そこは正直な気持ちを書くと言うことでご容赦いただきたいと思います。

先日今年に入って初めての労働審判をやりました。
これは被用者側。
僕は被用者側だけしかやらないとか使用者側だけしかやらないとかはないのだけれど、相手方代理人は使用者側専門。
なんか偉そうに、50件以上労働審判やったって言って裁判所に嫌がられたりしていたし、50件以上やった割には頭の悪い僕からみても、何だか争点ずれているじゃないかという主張をしていたけれど、自信だけはありそうな人だった。
まあそんなことは今回書きたいこととは関係ないのだけど。

結局今回の労働審判も勝ち負けでいえば「予想通り」負けたような事件だった。
何で労働事件が向いていないというか何だかやりがいを感じないのは、別に誰が代理人やっても、勝ちそうな事件は勝つし、負けそうな事件は負けるからかもしれない。
そしてそれは裁判官が自分の最初の判断に絶対的な自信を持っていて一切変えようとしないからかもしれない。

そういうことでいえば、労働部の裁判官は、たいてい感じが悪い。
毎日毎日同じような事件ばっかりやっているからそうなってしまうのかもしれないけれど、「こんなの無理ですよ」的な態度があからさますぎて困ってしまう。
そんな態度の人に何を言っても変わらないから、主張を工夫しようという意欲もわいてこない。

あと今書いたことと矛盾するかもしれないけれど、労働事件はきちんとやろうとすると膨大な時間がかかる。つまり主張や立証によって裁判所の考え方を少しでも変えるためには、膨大なエネルギーが必要なのです。
とにかく事情聴取に時間がかかる。
どういう会社でどういう地位にいてどういう仕事をしていて、あるときどういうことが起こったのか詳細に聞き取って記憶しておかないと労働審判などで万全な対応はできない。
それに労働法規もいろいろ細かくて、改正もあるし、不断の勉強による知識獲得も必要。

しかしながら、同時に数十件という案件を抱えていると、正直に言って、一つのこの労働案件にそれだけの時間と労力をかける十分な余裕が無い。
この部分が、プロとして失格です、という部分なのだけれど。

そうなると、いざ本番になると、もともと分が悪そうだったのは、そのまま分が悪く終わってしまう。
終わってしまって、あああれもやっておけば良かった、これもやっておけば良かったと思うのだけれど、じゃあ次回は万全の体制が整えられるかというと、結局時間の制約があってできないということの繰り返し。
ああまたこうして嫌な労働事件が一つ終わったという徒労感だけが残るのです。

あとは、労働事件の性質によるのかもしれないと思ったりします。
民事事件は基本的に全て対立当事者がいて、まあ単純にいえばけんかをするわけですが、どうもこの使用者と被用者がけんかをするという場面は、離婚事件や相続事件とはまた違った人間のいや〜な部分が露骨に出てくるのです。
そしてなぜか知らないけれど、この労働事件になると、使用者側も被用者側も、依頼者本人と一体化するという傾向が強いように思います。
そうなるともう雰囲気は最悪で、「冷静」な僕はとっても疲れてしまうのです。

そういうようなことで、全然まとまった話になっていないけれど、以上が労働事件が向いていないと思う理由です。
そして、たぶん裁判官と相手方代理人が、別の事件と比較して「性格が悪くみえる」のが一番嫌な理由なのかもしれないと思います。
頭の回転だけは速くて偉ぶる人は本当に嫌ですね。

そういう人で思い出すのは、あの市長ですが、この人綿谷ノボルそのものですね。
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by black_penguin | 2012-05-11 00:01 | 業務関連 | Comments(0)

弁護士のちょっとブラックな業務日誌


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