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象の消滅

しばらく小説を離れて,インタビュー集や「アンダーグラウンド」などを読んでいましたが,ここで原点回帰。
短編集です。
まだ購入していないのがあった。

パン屋再襲撃 (文春文庫)

村上 春樹 / 文藝春秋



パン屋を再襲撃するという意味のないお話も良かったですが,わたしとしては,「象の消滅」です。
何度も何度も言っていますが,小説家の能力は,最後の何行かをどう書けるか,にかかっていると,勝手に思っています。
村上春樹は,本当にこれが見事です。
「象の消滅」は,象がどうしていなくなってしまったのか,考えながら読み進めていきますが,意外な「真相」が明らかになります。
何というか,悲しいような爽やかなような初夏の夕方の風が通り抜けるような,そんなお話です。

この短編集には,「ねじまき鳥クロニクル」のもとになっている「ねじまき鳥と火曜日の女たち」が収められています。
「笠原メイ」は,別の短編に現れます。
「渡辺昇」は,全部の短編に現れます。
「渡辺昇」は,安西水丸の本名です。

「ノルウェイの森」より,短編「蛍」の方がずっと良かったですが,短編もいいですね。
良い短編は,真の実力が無いと書けないと思います。

これで小説はほぼ全て読んでしまったか…。
そしてついに,カラマーゾフへ…。
by black_penguin | 2011-05-30 23:13 | その他

弁護士のちょっとブラックな業務外日誌


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